当院はこの地域で暮らす皆さまが、病気になった時にも安心して生活ができるように、医療とケアを提供する病院です。調布市においても人口の高齢化は着実に進み、それに伴って医療とケアの領域において、いくつかの課題が生じています。その一つは高齢者の救急搬送件数の増加です。これに対応するため、当院は2017年に東京都指定二次救急医療機関となり、救急患者の応需をスムーズに行う体制を構築してきました。
2つ目の課題は認知症やせん妄患者の増加です(せん妄とは、身体への何らかの負担が原因となって、意識が一時的に混乱した状態になることです)。自宅では大きな問題なく生活できている高齢者が、入院すると徘徊、暴言・暴力などの行為を行うようになり、医療とケアの実施が困難になることがあります。当院ではフランスで開発されたユマニチュードというケアの技法を導入し、認知機能が低下し身体的にも脆弱になった高齢者に対して、適切なケアを実施するように努めています。
また、通院が困難になった高齢者に対する在宅医療・在宅ケアの充実も重要な課題です。住み慣れた場所で、自分らしく生活できるように、医師や看護師、理学療法士等がご自宅を訪問し、診察、治療、健康管理などを行います。東山会では、訪問看護ステーションの運営に加え、訪問診療、訪問リハビリテーションも実施しており、これからも需要の増加が予想される訪問診療の体制を強化することに取り組んでいます。
これらの体制を整えた上で、実際に当院の提供する医療とケアが適切な質を保てているかどうかを検証するために、2023年度に病院機能評価を受審しました。審査の結果、当院は日本医療機能評価機構が定める一定の基準を満たしていることが認定されました。社会は常に変化し医学は進歩を続けています。社会の変化や医学の進歩に伴い、病院には解決すべき新たな課題が次々と生まれます。現状に満足することなく、課題を自ら見つけ自ら改善し、良質な医療とケアを提供し続ける組織でありたいと考えています。誰もがいつまでも、住み慣れた場所で自分らしい暮らしをおくることができるように、これからも調布東山病院は人情味のあるサービスを心がけ、良質な医療とケアを提供して参ります。
2024年7月
調布東山病院 院長 須永 眞司