調布東山病院の理事長で、循環器内科専門医の小川聡子医師がお答えします。
東山会は、一般急性期病院、人工透析、予防医療、在宅医療・介護の4つのドメインでサービスを提供しています。
調布東山病院:一般急性期病院、透析センター、ドック・健診センター、在宅センター
桜ヶ丘東山クリニック:人工透析専門クリニック
喜多見東山クリニック:人工透析専門クリニック
むくみはなぜ起こるのですか?
何らかの理由で、心臓に血液が戻りにくくなり、血管に血液がたまり、そこからむくみが生じます。
若い人と高齢者でむくみの違いはありますか?
高齢者は血管の機能や心臓のポンプ機能、筋力が落ちてくるので、むくみやすくなります。
静脈には血液が逆流しないようにする弁があり、筋肉が収縮すると血液を押し上げる作用があります。
しかし静脈は自分で収縮する機能がなく、筋肉が締まることで心臓に血液を送り返してくれます。足の筋力が低下してきた高齢者は、その力が弱まり、足に血液がたまりやすくなります。
若い人のむくみには、女性、肥満、塩分の摂り過ぎなどがあり、病気から来るむくみでは、腎臓疾患、手術後など、さまざまな原因があります。
女性がむくみやすいのは、筋肉が少なく、ホルモンバランスのリズムがあるためです。塩分を摂り過ぎている場合は、制限が大切です。
おなかの中の手術、特に婦人科疾患やがんなどでリンパ節の郭清(切除)をされている方は、リンパの流れが遮断されていて、むくみやすくなります。
手術後など、足の筋肉を使っていない場合は、弾性ストッキングを使用する、リンパマッサージを行う、塩分制限をするなどの対策をします。
リンパマッサージは、心臓に向かってやさしくやさしく皮膚をなでる。抹消から中心に向かって表面をさする。同じ姿勢でいるとむくみやすいので、足を上げてなでる。こういった毎日の地道なケアがあると良いです。
痛みが出るまでむくんでしまうと、リンパマッサージなどだけではなかなか治らないので、早め早めのケアを心がけます。
むくみが気になったらどうしたらよいでしょうか?
何か変だと思ったら医療機関へかかってください。
健康診断でわかるのは腎臓・心臓の異常だけなので、健康診断だけではわからない影響、たとえば甲状腺ホルモンの影響などもあるかもしれません。
血圧測定、心電図、レントゲン、血液検査、尿検査など基本検査で、治療すべき原因があるかどうか精査します。それと同時に、生活習慣についてもお話をうかがいます。
むくみには、押してすぐに元に戻るものと戻らないものがあります。押してすぐ戻るのであれば、甲状腺機能低下症やホルモン異常の場合が多いです。
よくあるうっ血(血液の流れが悪くなり、滞ってしまうこと)・リンパ浮腫(リンパの流れが滞り、手足などにむくみが生じること)は押してもすぐには戻りません。ただし、わかりにくいものもあるので、自分で判断せず、気になったら医療機関へご相談ください。
「広報誌 東山だより(2022.5)」より転載