リハビリ室の役割は、患者さんのリハビリだけではありません。
病院で働くスタッフに対するアドバイスも大事な仕事です。
リハビリスタッフは人体の仕組みを勉強しており、
【起き上がり】や【立ち上がり】の動作がしやすくなる
誘導の仕方を知っています。
その知識は、介助時の腰痛になりにくい介助姿勢や、
安全で負担の少ない介助方法の指導にも応用できるのです。
(『ボディメカニクス』といいます)
今回は病棟スタッフからの依頼を受けて、
『腰痛になりにくいトランスファー(移乗)』
についての勉強会を実施しました。
車椅子からベッドに乗り移る動作を介助する場合を例にすると、
ただ真上に引き上げても、人の身体はなかなか持ち上がりません。
この時、
【介助される方の上体を前に倒す】 (お辞儀をするイメージです)
ことで、介助される側も自然な動きを誘導され、協力しやすくなります。
また、麻痺などで足に体を支える力がないか弱い方の場合、
【介助者の膝で患者さんの膝を押さえ、そこを支点にしてお尻を移動させる】
という方法があります。
ちなみに介助には、よりよい方法を体得することはもちろんですが、
最近は便利な福祉用具がありますので、
そういうものをうまく使うことも介助者の身体を守るコツです。
肘掛け跳ね上げ式車椅子
(手前の肘掛けを上げています)
トランスファーボード
この他、ベッドの高さを調整するだけでも、
腰への負担を減らすことができます。
看護師や看護助手のように、
日常的に患者さんのケアをするスタッフにとって、
腰痛は職業病とも言えます。
スタッフが腰痛になることを防ぐことで、
笑顔で患者さんと接していきたいですね!