貧血の症状はどれでしょう?倒れること?

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A.立ち上がった瞬間にフラッとする。(立ちくらみ)

 

 

 

 

B.立っていると目の前が暗くなって倒れる。

 

C.階段を上ると胸が押されるように痛くなる。

 

D.階段を上るときに息切れがする。

 

思っている貧血とちょっと違う? 医者がいう「貧血」とは、どんな病気?

貧血というと、「A.立ち上がった瞬間にフラッとする」「B.立っていると目の前が暗くなって倒れる」という症状を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、実際の貧血の症状は、「D.階段を上るときに息切れがする」が正解です。


その他にも、ちょっと運動をするとドキドキして苦しくなる(でも、じっとしていれば大丈夫)、顔色が白い・黄色っぽい、疲れやすい、というのが、典型的な貧血の症状です。
ちなみに、AとBの症状は、俗称「脳貧血」、医学的には「神経調節性失神」といいます。これは、自律神経の異常によって一時的に血圧が下がり、脳の働きが悪くなった状態で、貧血とは関係のない症状です。


このように、みなさんが思っている貧血と、医者のいう貧血はちょっと違うようですね。知っているようで、意外と知らない「貧血」のお話をしたいと思います。

 

貧血とは、赤血球の減少

医学的には貧血とは、血液の中にある「赤血球」が減少した状態を指します。赤血球の中には「ヘモグロビン」という物質があり、これが全身(脳、筋肉、心臓など)に酸素を運んでいます。赤血球が減ると、全身に酸素を運ぶ能力が落ちて身体が酸欠となり、貧血の症状が出るのです。症状の有無に関係なく、血液検査のヘモグロビンの数値を見て貧血があるかないかの判断をしています。

 

血液検査の結果で貧血チェック! 表の数値より低いと貧血です

年齢・性別 ヘモグロビン(g/dL)
幼児(6か月~4歳) 11.0以下
小児(5歳~11歳) 11.5以下
小児(12歳~13歳) 12.0以下
非妊娠女性 12.0以下
妊娠女性 11.0以下
男性 13.0以下

 


そもそも血液ってなんだろう?

血漿(けっしょう)という液体に、白血球、赤血球、血小板という3つの細胞(血球)がプカプカ浮いているのが血液です。

血液のはたらき

血液は、血球ごとに役割を持っています。

赤血球  ・・・・全身に酸素を運搬する役割。

白血球  ・・・・微生物や細菌など、外敵から身体を守る役割(免疫機能)。

血小板  ・・・・出血を止める役割。

 

 

健診などで貧血といわれたら、自覚症状がなくても病院で原因を調べましょう

健康診断などで「貧血」と診断されても、症状が全くないので病院に行かない、という方は多いと思います。

しかし、貧血のままでいると、思わぬ病気で緊急手術が必要になったり、事故に遭って出血したときに、通常の人より輸血が必要になる可能性が高くなります。したがって、症状はなくても貧血は改善させておくことが望ましいのです。

また、貧血の裏には、胃腸からの出血、子宮筋腫、腎臓の病気、臓器のがん、関節リウマチ、骨髄の病気など、病気が隠れている可能性があります。貧血の原因をきちんと調べ、原因疾患が見つかった場合はその治療を行いましょう。貧血は、いろいろな病気のサインなのです。

貧血の中で一番多い「鉄欠乏性貧血」

いろんな種類がある貧血の中で最も多いのが、「鉄欠乏性貧血」です。“鉄”は、赤血球を作る材料。“材料”が足りないため、「赤血球が減少」=「貧血」となってしまうのです。鉄不足になる原因は大きく3つあります。

①食品から摂取する鉄分が少ない
②体内で鉄分をうまく吸収できない
③鉄分の排出が多い(胃腸などから出血)

鉄分が足りない、と聞くと、皆さんはまず①の食生活を思い浮かべるかもしれませんが、医者がまず疑うのは、「③鉄分の排出が多い(胃腸などから出血)」です。

胃腸から出血すると便に血が混ざるのですが、黒っぽく見えるだけで気がつきにくく、出血が続き鉄不足につながります。女性の場合は、子宮筋腫で月経量が増え、鉄不足になることも多いです。

鉄欠乏性貧血の原因疾患がわかったら、鉄剤の服用と並行して、原因の治療を行いましょう。

 

鉄分はどのくらい摂ればいいの?


健康な人

1日の理想的な鉄分摂取量は、7〜10mgほどです。下の表に主な食品に含まれる鉄分量を記しましたので、日々の食事の参考にしてください。食事が原因で鉄不足になるケースはめったにないので、神経質になる必要はありません。

ただし、成長期の子ども、月経のある女性、妊娠中の女性は、相当量の鉄分を必要としますので、意識して鉄分の多い食事をとることをオススメします。

鉄欠乏性貧血の人

食事だけで体内から不足している鉄分を補うことは難しいため、鉄剤を服用しましょう。病院で処方される鉄剤には、一回分で50〜100mgもの鉄分が含まれています。吐き気、お腹が張る、便秘などの副作用があり毎日服用するのがつらい方は、2〜3日に1度でもよいので服用を続けることが大切です。

 

Q.鉄欠乏性貧血ですが、薬はできれば飲みたくありません。サプリメントではダメですか?

A.サプリメントの鉄含有量(6〜10mg)と、病院で処方される鉄剤の鉄含有量(50〜100mg)には大きな差があります。サプリメントだけで鉄欠乏性貧血を改善させることは難しいため、医師から処方された薬を飲んだ方がよいでしょう。薬である程度、体内に鉄分の蓄えができたら、食事に気をつけながら、サプリメントに切り替えてもよいかもしれません。

 

代表的な食品などに含まれる鉄分

鶏レバー(100g)→ 9.0mg

1食分だと…
焼き鳥2本(60g) → 5.4mg

豆乳(100g)→ 1.2mg

1食分だと…
1パック(200g) → 2.4mg

ひじき(100g) → 55.0mg

1食分だと…
大さじ2杯強(8g) → 4.4mg

ほうれんそう(100g)→ 2.0mg

1食分だと…
3分の1束(100g) → 2.0mg

ほうれんそう

小松菜(100g)→ 2.8mg

1食分だと…
3分の1束(100g) → 2.8mg

小松菜

鉄分のサプリメント(1日分)
6〜10mg

サプリメント

病院で処方される鉄剤(1回分)
50〜100mg

鉄剤